うつ病について
うつ病は、脳内物質のアンバランスにより、心身に不調が表れる病気です。「眠れない」「食べられない」などのつらい状態が続くため、徐々に日常生活に大きな支障を来してしまいます。お薬によって脳内物質のバランスを整えることで、状態は改善して行きます。以下のような症状が2週間以上続く場合には、受診・相談をお勧め致します。
心に現れる症状
- 好きだった事への興味や楽しみがなくなる
- ゆううつな気分や気持ちの落ち込みが続く
- 将来への希望がなくなり、悲観的に考えるようになる
- 集中力がなくなり、能率が低下する
身体に表れる症状
- 食欲がわかず、食べ物がおいしく感じられなくなる
- 眠りが浅くなったり、早朝に目覚めたりすることが続く
- 体がだるい、疲れやすい、億劫さが強い
- 時々頭痛やめまい、耳鳴りの症状がある
不眠症について
不眠症は、夜間の不眠症状だけではなく、不眠により日中の生活に支障を来している状態を指します。日本人の5人に1人が不眠症と言われていますが、年齢を重ねるに従ってその割合は高くなると言われています。生活リズムの見直し・立て直しを図ると共に、お薬を用いた治療を行うケースが多いですが、夜間の睡眠が改善し日中の心身の調子が良くなれば、状況に合わせてお薬の減量を心掛け、可能な限り休薬を目指すというのが不眠症の基本的な治療法です。
不眠に伴って見られる症状
- 集中力・記憶力・判断力の低下
- 意欲の低下
- イライラ・そわそわ感など
- 緊張・頭痛・胃腸障害などの身体症状
適応障害について
適応障害とは、自分の周りの環境にうまく馴染むことができず、ストレスを抱えることによって心身に様々な症状が表れる病気のことを言います。就職・転勤・異動・転居・結婚・離別などをきっかけに発症することが多いと言われています。うつ病とは異なり、環境を調整したり、ストレス因から遠ざかったりすることで症状が軽減しやすいのが、この病気の特徴です。
心に現れる症状
- 何事にも不安になる
- 気分が落ち込み、抑うつになる
- 焦りやすく、焦燥感が強くなる
- 感覚が過敏になる
身体に表れる症状
- 眠れない、眠ってもすぐに目が覚める
- 食欲不振
- 動悸・息切れ・頭痛・肩こり・下痢など
- だるい、疲れやすい
社交不安障害について
人前に出ると不安になったり緊張してしまったりすることは自然な反応ですが、それが必要以上に気になってしまう病気を言います。不安や緊張が激しく、顔面紅潮・発汗過多・震え・腹痛などの症状が強く現れることがあります。また、「症状が出てしまうのではないか」という不安が強くなって、次第に人前に出るような場面(会議やプレゼンテーション、上司や面識が少ない人との会話など)を避けるようになり、結果として、社会生活に大きな支障が生じることもあります。
パニック障害について
パニック障害は、突然、何のきっかけもなく、動悸・呼吸困難感・めまいなどの身体症状が出現する(パニック発作)が起こる病気です。パニック発作は繰り返し起こりやすく、本人にとっては「死んでしまうのではないか」というくらいに症状が強いため、「また発作が起こるかもしれない」という予期不安が強まると、一人で外出できなくなったり、電車・バス・飛行機などの公共の乗り物に乗れなくなったりするなど、日常生活に大きな支障を来すことがあります。
強迫性障害について
特定の物事に対するこだわり(執着)が著しくなり、日常生活に支障を来す病気のことを言います。何度も何度も執拗に手洗いをしたり、他人の手が触れた物などを触ることが出来なかったりする「不潔恐怖」や、戸締まり、ガスの元栓、電気のスイッチなど何度も何度も確認しないと気が済まない「確認恐怖」などが当てはまります。清潔を保つことや確認をすることは決して悪いことではありませんが、これらの行為が度を超えて、日常生活や社会活動に支障を来す場合には、治療を受けられた方が良いと考えられます。
認知症について
記憶力などの知的機能が後天的に低下し、社会生活に支障を来す状態を言います。認知症になられたご本人が自ら「医療機関を受診したい」と申し出る事は非常に稀です。ご家族が少しでも以前との差を感じられたなら、出来るだけ早い段階での受診をお勧めします。どの疾患でもそうですが、進行してしまってから治療を開始するより、初期の段階で手を打つことで予後に大きな差が生じます。認知症の場合、お薬等によってある程度は病気の進行を予防することや、介護者を悩ませる幻覚や妄想などの症状を軽減することが可能です。認知症には「アルツハイマー病型認知症」「レビー小体型認知症」「血管性認知症」など、いくつかのタイプがあり、それによって症状や治療法も異なります。